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トルコ・シリア大地震関連情報




【ホープフル・タッチとトルコ】


ホープフル・タッチは、シリア紛争のためトルコに避難しているシリア人の子ども達への教育支援活動をきっかけに、2016年、事務局長高田がシリア人の友人と共に設立しました。様々な困難に直面している子ども達を支えるため、これまでトルコ、カンボジア、スーダン、シリアで教育、子ども保護、保健・栄養、子ども参加の分野で活動を実施してきました。


私達は2016年から2021年まで、トルコのシャンルウルファ県農村遠隔地で、教育を受ける機会のないシリア難民の子ども達への教育支援や、その家族への生活物資配布支援を実施していました。子ども達がトルコの公立学校へ通学できるようになったことを受け、トルコでの活動は一旦完了としていました。


しかしこの度、2023年2月6日にトルコ・シリア大地震が発生し、私達が子ども達のために活動していた、シャンルウルファ県も被災地のひとつとなってしまいました。紛争から逃れ、避難生活を続ける新たな地で、再び命の危機にさらされているシリア難民の子ども達や家族の方々の命を守るため、このシャンルウルファ県での緊急支援を実施することを決定しました。


トルコで実施していた教育支援活動



【トルコ・シャンルウルファ県の様子】


シリアとの国境県のひとつであるシャンルウルファ県では、トルコ首相府防災危機管理庁による救命活動は9日に完了とされ、13日時点で179人の方々が命を落とし9,232人の方々が負傷し、建物の状態調査では、調査対象の18,333棟のうち6,513棟が損傷をうけ、63,274戸が損傷しました。


今回の地震で被災した地域は、シリアとの国境県が含まれ、トルコ国内でもシリア難民の方々が多く避難先としています。紛争から10年以上経ち、シャンルウルファ県で生活するシリア人の方々の多くが、市内のアパートで生活しています。



シリア国内で内戦により家や家財を失った上、地震により再び住まいを失った人々の喪失は、経済的にも心理的にも計り知れないものとなってしまいました。倒壊や損傷により、自分の家に住めなくなってしまった方々は、地震直後は一時的な住まい(親戚の家や農村地、テントなど)を自ら探し確保しなければなりませんでした。


シャンルウルファ県での救命活動


政府は建物の修復や住まいへの補助金支給を計画していますが、今日・明日を安全に過ごすためには、各家庭で仮住まいを探したり、修復に取り掛からなくてはならず、多大な出費がかかってしまいます。


被災した方々が安全・安心に生活できるようになるためには、基本的な衣食住や心理的安定など、長期的なサポートが必要とされることが見込まれますが、今回の緊急支援では直近の課題に対応するため、食糧配布を実施します。


2週間分の基本的食糧の配布を通じ、避難先で特に経済的に逼迫した生活を送るシリア難民の家族の方々の基本的生活を支え、家計出費を軽減します。



【シャンルウルファ市内:シリア人の方々からの情報】


2月7日時点

  • 倒壊した自宅に帰れない人達が屋外にいるが、避難先へ誘導する人がおらず、どこに避難するか自分で探さなければならない。

  • 屋外にテントが設置され、医薬品や毛布などの支援物資の配布もあるが、物資の取り合いで人々のあいだに衝突が起きている。

  • 避難先や食糧や水、防寒用具の確保など、災害時の対応を知らず人々が混乱している。

  • 余震が続いており、不安が絶えない。


  (現地スタッフ家族からの情報)

  • 6日から屋外へ避難し、公園や広い庭がある親戚の家で過ごしている。6日夜は公園で一晩明かし、ベンチで仮眠をとったが、寒さもあり1時間も眠れなかった。

  • 居住していた自宅アパートは倒壊していなかったが、自治体が建物の調査をしているようで、自治体担当者から「基盤が崩壊しているため、今後居住することはできない」と伝えられた。

  • 倒壊した建物に住んでいた親戚一家は病院に搬送されたが、安否が確認できていない。

  • 水や電気は通っている。

  • 7日時点では、食糧は商店から購入できたが在庫がほとんどなかった。


2月14日時点

  • 電気は地震直後に停電したが、その後は電気も水も通っている。自治体が水質調査をし、飲料に問題ない水質だった。

  • 食糧は、開いている商店やパン屋から入手でき、スーパーも開き出した。

  • 病院は運営しており、建物の損傷を受けた病院は移転して運営するそう。病院に行かなくても、持病を持つ人は医薬品を自治体を通じて入手できた。

  • 自治体による建物の損傷状態に関する調査が地区ごとに実施され、各建物(住居)で損傷状態の評価が完了しつつある。個人は政府のウェブサイトで自分のIDナンバーを入れれば、住居の状態を確認できる。損傷が少ないと評価された建物であれば、帰宅できるが、居住に「安全でない」と判断された場合は帰宅できない。可能な人は自ら避難先を見つけているが、テントで生活している人もいる。


2月20日時点

  • 政府からの住居支援が進んでいる。

    • 現金支給:自治体による住宅調査結果の住宅破損状態とIDが結びついているので、中程度以上の破損の場合、現金がIDに登録している口座へ支払われる。すでに現金を受け取ったというシリア人(トルコ市民権所持)もいる。

    • 移転支援:県の審査によって、移転に必要な資金が支援対象になる。引っ越しなどにかかる費用が値上げしているという情報もあったが、シャンルウルファでは引っ越し業者などに費用の上限を設定し、違反した場合は業者に対する措置を下すとされている。

    • 住宅支援:空き家や未使用住宅を所有する人が、被災者に無料または低価格で住宅をレンタルできるアプリケーションができた。貸付契約は自治体と家主で交わされる。

  • 「6日の地震で体験した恐怖が続いている。また地震があるという噂も聞き、怖くて仕方がない。6日からずっと、いつでも避難できるように外出用の服を着て過ごしている。しっかり眠れない。トルコでこんなに怖い想いをするなら、紛争が続いていてもシリアに還りたい」

  • 2月20日夜に発生した、トルコ南部ハタイ県を震源とするマグニチュード6.3の地震では、シャンルウルファでも揺れを感じられた。


2月26日時点


損傷程度

調査対象:63,428棟

調査対象:327,130ユニット

重度の損傷、取り壊し、緊急の取り壊し

663棟(1%)

​3,535ユニット(1%)

中度の損傷

829棟(1%)

5,932ユニット(2%)

低度の損傷

22,913棟(36%)

​165,453ユニット(51%)

損傷なし

30,964棟(49%)

​123,916ユニット(38%)

  • シャンルウルファ県での地震による建物被害調査によると、調査対象の63,428棟のうち損傷を受けたのは38%、327,130ユニット(独立した住居/店舗等)のうち損傷を受けたのは53%。

  • 「中度の損傷」の場合、取り壊しの必要はないと評価されているが、続いている余震もあり崩壊を恐れる人が多く、実際には中度・程度の損傷と評価された住居に住んでいる人、店舗で働く人も建物から退避している。



【トルコ・シリア大地震について、イベントでお話ししました】


人々が自然と防災に取り組める社会をつくるために、LIFEGIFT事業や、防災×研修、防災EC等の領域で取り組みを進めていらっしゃる、防災ベンチャー株式会社KOKUAさまのイベント(2/11開催)にて、トルコ・シリア大地震に関してお話ししました。


インタビュー記事はこちら


地震発生から間もない時点でのお話ですが、インタビュー形式で内容をまとめていただいたので、ぜひご覧ください。


KOKUAさまは、パーソナル防災サービスPASOBOを運営されています。PASOBOでは、自宅の周りに潜むリスクを確認し、自分の家庭に必要な防災グッズを購入できます。ぜひみなさまもご家庭の防災にご活用ください!

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