スーダンでは、2023年4月に勃発した国軍と準軍事組織間の武力衝突と内戦化により、人道危機が増大し続けています。発生から1年が経過し、内戦により数万人が命を失い、800万人以上が国内外へ避難を強いられています。国民の50%が人道支援を必要とし、37%が深刻な飢餓に直面しています。
国軍と準軍事組織は各地域における戦闘と占拠を繰り返しており、民間人の殺害や誘拐、強姦、民家や商店、事務所、倉庫等からの金品の強奪など非人道的行為を続けています。
慢性的な情勢不安や食糧不足にあるスーダンで、コミュニティの人々が地域資源を活用しながら自立的・持続的に子ども達の生活を改善できるよう、弊会では2019年から段階的にスーダンにて学校菜園事業を実施してきました。地域の人々の参加を促しやすく、活動が継承されやすい小学校を舞台とし、食に関するライフスキルを向上するため、菜園設置やトレーニングを行いました。
2023年度は情勢悪化に伴い、活動対象校の休校が続きましたが、自主的に登校した教師や生徒によって菜園は管理され、臨時授業のなかでトレーニングを実施しました。先生方は前年度までに研修で獲得した知識や技術を工夫して、生徒の学習をフォローアップしました。
食糧不足を受け、学校菜園での経験を活かして家庭菜園に挑戦する生徒もいました。家庭への応用に際しては、教師や現地専門家、弊会スタッフがその方法を説明し、野菜のタネを提供しました。保護者の協力を得ながら、28世帯で育てた野菜を収穫できました。
2021年度に作成し、生徒に配布した食育ワークブックは主に、生徒達の家庭学習ツールとして活用されていました。教科書はクラスで共有して使用しているため、自分の教科書や本を所有していることは少なく、このワークブックが家庭で唯一の読み物になっている生徒も多くいました。
人道危機が続くスーダンですが、これまでの活動のなかで子ども達や先生方、地域の方々が培い実践してきたライフスキルが、少しでも生活の支えになることを願っています。
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