戦争、感染症、尽きない危機と不安



シリアの活動地ラッカ県にて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)予防のため、子どもや家族100名の方々へマスク・ゴム手袋の配布と、手洗いによる感染予防啓発を行いました。


私たちはラッカで、戦争により障がいをもったり教育を受ける機会を失った子ども達のためコミュニティセンターを運営しています。しかしCOVID-19の拡大により、ラッカ市民生評議会からの要請で、コミュニティセンターは休館せざるをえない状況となっています。

戦争により心身への被害を受けている子ども達や家族の方々が、少しでも教育や社会的活動へ復帰できるように活動してきましたが、今度は感染症という新たな危機に直面し、なかなかスムーズには活動できません。


ラッカでは未だ、公的にCOVID-19感染者は報告されていません。不幸中の幸いではありますが、戦争によりこの場所がシリアの中でも政権側ではなく自治政府により統治されており、自由に人々が行き来できる状況ではなかったという背景もあります。「もともと世界から孤立しているのだから、ウイルスも入ってこれない」という現地の方の皮肉は、本当は笑って済ませてはならない事実です。



戦争により破壊され医療機関もままならず社会的にも孤立している街で、検査が充分にされているはずもなく、本当に感染者がゼロであるかどうかも100%断言はできません。人々が自由に行き来できない状況ではありましたが、シリア国内の移動やトルコとの行き来がゼロであった訳ではなく、感染の可能性を完全に否定することもできません。


現在ラッカは自治政府により外出制限や教育機関・集会の閉鎖が求められており、コミュニティセンターも休館していますが、少しでも感染予防に貢献できるよう、センターのスタッフで今回の配布を実施しました。


「まだ自分達に直接感染の危機が訪れている訳ではないけれど、困難はもうたくさん」というのが人々の想いです。子ども達にとっては、感染症についてよく理解できていないものの、余計にまた不安なことが増えてしまったようです。



医療機関や機能が破綻している場所で感染症が広まることはなんとしてでも避けたいところですが、現地スタッフにとっても、せっかく希望をもって活動が始められたにも関わらず活動を中断せざるをえないのは、とても歯痒くフラストレーションにもなります。


今回の配布活動は、現地スタッフから「ぜひ実施したい」という強い意思により実現しました。スタッフ自身の感染予防も配慮しなければならず、いくらNGOだとしてもスタッフを危機に曝すことはできません。ラッカでの感染状況を踏まえ、充分な配慮をもって実施しました。



シリアでは戦争が続いています。感染症で世界が混乱したからといって、戦争が終わっているわけではありません。シリアの人々にとっての“日常”が戻るには、まだまだ時間がかかりそうです。




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