
アサド政権が崩壊し1ヶ月以上が経過しましたが、私達の活動地であるラッカ県は、未だクルド系勢力であるSyrian Democratic Forces(SDF)の統治下にあります。シリアの暫定政府大統領は、SDFとの交渉が進行中であるとしていますが、他国との関係を踏まえ、詳細は明らかにしていません。
ラッカ県は内戦下の2014〜2017年に武装組織であるIslamic State of Iraq and Syria(ISIS)の占領下に置かれ、アメリカ軍の後援を受けたSDFがこれを掃討しました。以来、ラッカ県を含むシリア北西部は、SDFによる自治区状態となっていました。その政治的複雑さから、長期にわたる内戦下においても、外交上国際人道支援が特に入りにくい場所でした。
2011年の内戦開始以降、様々な武装勢力や国によりパッチワーク状に領土とされてきました。現在もトルコやイスラエルの統治下にある地域がありますが、大きくは、アサド政権を崩落に追い込んだHayat Tahrir al-Sham(HTS)を中心とした反政府勢力か、SDFによって統治されています。
アサド政権崩落直後には、SDFとHTS間の武力衝突もあり、今後どのように「国家」として統一していくのかは、国際社会からも注目されています。
シリア北西部では、未だアメリカ軍主導による対ISIS軍事作戦や、SDFによる元ISISメンバーの留置所管理が行われています。また、SDFをテロ組織として指定している、トルコ政府軍との武力衝突も続き、暫定政府とのスムーズな交渉は難しいとされています。
ラッカ市内では、SDFを支持するデモがある一方、多くの人々は、暫定政府に国家としての統一を期待しているようです。
現在大きな戦闘は発生していないものの、今後も情勢を見守る必要があります。
私達が理学療法や発達支援を提供しているクリニックには、引き続き、出生時や戦闘による後遺症などをもつ、1〜14歳の子ども達が訪れています。


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