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理学療法を受けている子ども達の状況


髄膜炎により脳障害を負った5歳の女の子



私達がシリアで運営している理学療法センターでは、毎月50名ほどの子ども達が理学療法を受けています。


センターには、負傷や病気で理学療法が必要な子ども達が来院しています。


負傷のほとんどは、内戦下で空爆や地雷により身体の一部を失ったケースです。義肢を得た子ども達が、義肢装具士も兼任するシリア人医師と理学療法士のサポートを受けながら、新しい脚の使い方を練習しています。



病気の多くは、内戦下で適切な医療環境下で出生できなかったことが影響しています。


特に多いケースの1つめは、細菌性髄膜炎です。

細菌性髄膜炎とは、細菌によって引き起こされる髄膜(脳と脊髄を覆っている膜)の炎症です。

細菌によって引き起こされる髄膜炎は、あらゆる年齢の人で生命を脅かしますが、新生児では特に重大な問題になります。治療しなければ、細菌性髄膜炎の新生児はほぼ全員が亡くなります。

治療を行っても、5〜20%の死亡リスクがあり、生き延びた子どものうち、20〜50%で脳や神経の重篤な問題が発生します。

通常は出産前に妊婦が検査を受け、抗菌薬が投与されるそうです。


私達のセンターに来院した、髄膜炎の既往がある子どものほとんどに脳神経への影響があり、痙攣や筋緊張、姿勢維持の難しさ、不随意運動などがみられます。


このような症状をもつ子ども達に対して、理学療法ではストレッチやエクササイズを通して、痙攣の緩和や筋肉収縮の緩和、座る・しゃがむトレーニングを実施しています。



髄膜炎により麻痺や筋力低下がみられる9歳の男の子



次に多いのは、早産であったにもかかわらず保育器内で保護されず、脳障害を負ったとされるケースです。


このような子ども達は、筋緊張の障害や姿勢維持の難しさ、筋力低下、痙攣などの身体症状のほか、感覚障害や認知発達上の難しさなども抱えています。


理学療法では、筋力強化を中心に座る・しゃがむトレーニングなどを実施しています。



早産の影響とされる、筋緊張の機能不全や協調運動に難しさをもつ6歳の男の子



このほか、様々な病気の既往や怪我により、低酸素脳症、弛緩性麻痺、痙攣性麻痺、水頭症、側湾症、腕神経叢損傷などをもつ子ども達が来院し、リハビリを受けています。



水頭症をもち、重度の筋力低下や認知発達の遅れがある5歳の女の子



センターの専門家チームは、ほとんどの子ども達のケースについて、自立的にバランスよく立ち、歩行できるようになることを最終目標に介入に当たっています。


子ども達の状態の改善には、保護者の協力が欠かせません。理学療法士は主に母親に対し、子どものために家庭でできるエクササイズを指導し、実践の様子をフォローアップしています。



血液型不適合妊娠の影響による脳性麻痺をもつ5歳の男の子



子どもの発達を支えるためには、継続的なサポートが必要です。

引き続きのご協力を、どうぞよろしくお願いいたします。

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