シリア戦争が始まり10年が経過してしまいましたが、未だ戦争は終わってはいません。シリア全土の約2/3は戦争以前のようにアサド政権下になっていますが、私たちが活動をしているラッカ県はクルド系自治政府によるコントロールが続いています。武力による攻撃を受けるリスクは続き、電気や水など基本的生活に必要なインフラも滞ったままです。
対象地におけるCOVID-19の感染状況について正確な情報は出ておらず、感染症以前の問題として、基本的生活を送ることが課題となっています。人々の認識としては、COVID-19による感染自体を懸念するよりも、物流や人流が規制され生活用品が手に入らなかったり、医療や社会福祉機関が機能していないことを問題視しています。私たちも対象地域内のコミュニティクリニックなどと連携を取ろうとしていますが、他機関自体が物資不足でサービスを提供できない状況が続いています。
フェリシモ地球村の基金からのご支援により、戦争や感染症の影響を受け、社会的な機能が働きにくい状況が続くシリア・ラッカ県市内にて、特別支援コミュニティセンターを運営しています。2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、子ども達が同じ場所に集まって勉強やレクリエーション活動をすることが難しい状況が続いていました。現在も感染症拡大の心配はあるものの外出規制などは緩和され、子ども達のグループ活動もできるようになりました。
戦争、感染症と活動が制限され続けている子ども達が、少しでも自由に楽しめる時間をつくるため、感染症による規制緩和後はレクリエーション活動の実施を中心に行いました。コミュニティセンター内や対象地にある唯一の文化センターで、子ども達を集め歌や音楽のプログラムを実施しました。子ども向けのレクリエーション活動は対象地でほとんど実施されていないため、コミュニティセンターに通っている子ども達だけでなく、近所の子ども達や孤児施設で生活する子ども達も集まってきました。久しぶりに友達と一緒に遊び、町には子ども達の元気な声が響き渡っていました。
学習活動においても、外出規制中は家庭での学習フォローアップが中心となっていました。再び教室に集まって勉強できるようになりましたが、「勉強」そのものよりも、友達と一緒に過ごせることが子ども達にとっては嬉しく、遊びの延長のようになっています。子ども達は「友達と一緒に遊べる/勉強できるのが楽しい」と、活動の内容に問わず友達といられることを楽しんでいます。
なかなか安心・安全な環境を保ちにくい状況が続いていますが、少しでも子ども達の“楽しい”体験が増え、安心感が育まれるよう活動していきます。
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